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エネルギーマネージメント

我輩はかもめ・・・   
        名前はジョナサン


今回は我輩がどうやって走っているのかをご紹介しよう。

俗に言うエネルギーマネージメントと言うやつだ。

ガソリン車ならばメーターを見ながらガス欠になる前にカゾリンを満タンにして走るだけの事なんだけれど、ソーラーカーというのは走りながら発電するわけで、バッテリーの残量を常にコントロールする必要がある。

この残量のコントロールがソーラーカーレースの最も面白い部分でもある。
なぜならば、発電量が天候によって波があり、その日の発電量の予想の立て方ひとつで走り方が変わってくるからだ。

左の写真は我輩が1999年のオーストラリア大陸縦断レースで使用した発電積算の基礎データである。

多くの大学や上位チームではコンピューターを駆使して走行計画を立てているようだが、我輩のチームではこのグラフ用紙と電卓、そしてエンピツが主要な戦力だ。

まずグラフの見方だが、横方向に経過時間、朝8:00から17:00までを刻んでいる。

縦方向は発電量の積算値で、天気が良ければグラフが上に延びていく。

このグラフ用紙には、それまでのテスト走行日の発電状況が折れ線で記入されている。

このグラフにレース当日のスタート時間からの積算値を書き込んで行くと、昼ぐらいには夕方の発電値の予想が立つのである。

テスト走行を行う度に時間毎の発電積算値をグラフに書きこんでおくことで、どんな天候の時でも走行終了時までの総発電量の予測が出来るようになってくるのだ。

これにはもちろんデータの量が物を言うのだが、世界中の誰よりも多くの走り込みを行っている我輩のデータ量はかなりの精度に達している。

次に、その日の使えるエネルギー量を決める。
ここで注意しなければならないのは、前もってバッテリーにどれだけ残っていたのかと、最後にどれだけ残すかというのも把握していなければならない。

1日だけのレースならば満充電のバッテリーを空っ欠まで搾り出すわけなので、バッテリーの仕様書を見ればおおよその見当はつく。

そこで物を言うのが以前のレポートでも触れた浪越の積算メーターなのである。

この積算値をもとに電卓を叩きながら、その日の残りの時間にモーターに食べさせられるエネルギー量を決める。

たとえばその日にあと5時間走る予定として、もし使えるエネルギーが4000Wと決まれば、

4000w / 5h =800w

この日はこれ以降は800w/hで走りつづければ良いのである。

800w/hで走る為には時速何キロで走れば良いかを知るのはもちろんテストするしかない。

様々な速度で走り、それぞれの消費エネルギーを正確に把握する。

あとは勾配や風向きで多少の修正を加えればOKである。

これは1日中、出来るだけ同じ速度で走ることをめざしたマネージメントである。

これと対照的な走り方は、自転車操業走法とでもいうか、とにかく発電したエネルギーだけを単純に消費する走り方。
入った分だけ使うのだから残量の把握は楽になるが、走行速度にむらがある走りはけっして効率の良い走りではないのだ。

我輩も浪越のメーターを購入する前は、とにかくバッテリーの電圧計だけをたよりに、走れる時に距離を伸ばしてあとはノロノロ走行・・・なんて事もあったなー!笑

そんな我輩ではあったけれど、1999年のオーストラリア大陸縦断レースWSCではプライベートクラス第二位という成績を収めることが出来たんだから、我輩のエネルギーマネージメントもそんなに間違っていないかもしれないね・・・、もちろん運が良かったことは確かだけれど・・・。

コンピューターで走行計画を立てているチームの人達は別として、手計算を楽しんでいるソーラーカーチームの人達にはJonaSun式グラフは絶対にお薦めの方法である。
なぜなら発電のデータだけならわざわざコースを走らなくても校庭の隅っこでも採集可能だからである。

手計測を馬鹿に出来ないのはどこかの国の大統領選挙でも実証されたし・・・ね。

ロシアは6月の下旬がほとんど夜のない日が続くらしい。
日が長くても、入射角があるから瞬間的なパワーはないだろうと予想している。
となればなおさら、このエネマネが大きなポイントになりそうである。

それでは今年もヨロシク・・・

つづく・・・

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